2022.6.11

富士登山 救護強化へ

県 5合目に医療コンテナ 7、8合目 麓の医師と連携

 山梨県は、内部で診察などが行える医療用コンテナを、夏山期間中、富士山5合目に設置することを検討する。新型コロナウイルスの感染者数減少で、今夏は登山者数の回復が予想されることから、けがや病気に対する救護態勢を強化するのが目的。7、8合目の救護所についても、医師が不在の場合は看護師が患者の状態を麓の医師に報告し、適切な処置ができる態勢を整える。

 県医務課によると、設置を検討しているのは、甲府・県立中央病院と中央・山梨大付属病院の2カ所にある医療用コンテナ。2台1セットで、診察室や医師用の部屋、レントゲン室や心電図を測る機械などを備えている。外部にウイルスが飛散しないようにする機能もある。

 医療用コンテナは、新型コロナの感染が疑われる患者の「発熱外来」として使われていたが、ドライブスルー方式での検査が一般化したため、両病院での活用機会は減っているという。

 富士山5合目の救護所にはこれまで看護師が常駐していたが、医療用コンテナの設置に合わせ、医師や看護師の増加も検討する。医療設備が充実するため、体調不良者への迅速な措置につながるという。

 一方、県は今夏から7、8合目の救護所に待機する医師が不在の場合、5合目に常駐する看護師が麓の病院の医師に患者の画像データなどを送信し、救急搬送が必要かを確認できるようにする。昨年夏に試行した結果、問題がないことが分かったことから判断した。県世界遺産富士山課は「より安全に登山ができる態勢を整える」としている。

(2022年6月9日付 山梨日日新聞掲載)

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