富士山開山 レンジャー権限強化 指導に力「安全に楽しく」

登山者に声をかける富士山レンジャー=富士山5合目
県装備、ルールさらに徹底
富士山の吉田口登山道が1日、山開きを迎え、登山規制を導入して2年目の夏山シーズンが始まった。軽装登山を抑止するため、今夏から富士山レンジャーの指導権限を強化。通行料を昨夏より2千円値上げし、5合目ゲートの閉鎖時間を2時間前倒しした。国内外の登山者からは「危険な登山を防ぐためには仕方ない」と理解を示す声が聞かれた一方、「規制強化を知らなかった」と話す人も。県の担当者は「知恵を絞って周知にも力を入れる」とした。
「靴が登山に適していません」。1日午前、富士山5合目で、富士山レンジャーの若木俊一郎さん(49)=笛吹市=が札幌市から訪れた男子大学生3人組に声をかけた。3人は事前に登山装備を調べていて「履き慣れた運動靴なら大丈夫だと思った」と説明。「もっと確認すれば良かった」と後悔しつつ「けがをしたら元も子もない」と口をそろえ、登山靴をレンタルした。
県は今夏、軽装登山対策として、富士山レンジャーの指導権限を強化し、場合によっては入山を拒否できるようにした。1日は4人の富士山レンジャーが5合目付近や登山道を巡回。県職員と共に登山者に声をかけ、装備が不十分だった約50人に雨具や登山靴の購入、レンタルを促した。約9割が外国人だったといい、全員が指導に従った上で登山を再開した。
若木さんは「登山者に指導や注意をする場面もあるが、安全に楽しんでもらうことが目的なので、しっかりと理解してもらえるように声かけをしていきたい」と話す。
通行料は昨夏より2千円値上げし、5合目ゲートの閉鎖時間を2時間前倒し。1日午前3時にゲートが開くと同時に登山者が続々と通過した。県によると、午後2時のゲート閉鎖までに、当日受け付けで通行料を支払って通過したのは387人、前日までに事前予約して通過したのは991人だった。悪天候に見舞われた昨年の開山日(7月1日)は計1195人で、今年は183人多かった。
開山期間は9月10日まで。
(2025年7月2日付 山梨日日新聞掲載)