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2019.9.01 所属カテゴリ: 富士山噴火に備える / 防災キーワード /

富士山直轄砂防事業計画

 富士山における国の直轄砂防事業。2017年度に噴火対策として、山梨県側での砂防事業を盛り込むなどの事業実施の見直し案を決定。

 1967年5月、山梨県知事が政府・与党連絡会議の席上、首相に対し「最近富士山の山容が変化してきた。特別の防災工事を考慮してほしい」と要望。首相が「〝日本の象徴〟を守るため関係当局に指示する」と約束。その後建設相が「富士山の〝大沢崩れ〟の土砂崩壊は予想外にひどいもので、今後は全額国庫負担で直轄事業として大規模な修理をしたい」との発言をきっかけに、1969年に大沢川での直轄砂防事業に着手したことに始まる。

 直近の事業計画では、降雨による土砂対策が目的で2012~2046年の34年間で、静岡県側に土砂をせき止める砂防えん堤62基、せき止めた土砂を堆積させる沈砂地13基を整備。事業費は約830億円で、既にえん堤6基、沈砂地2基が完成。

 見直し案では想定する災害に噴火を追加し、事業の対象範囲を山梨県側にも拡大。山梨、静岡両県で砂防えん堤23基、沈砂地30基を整備。今後、両県の整備配分を検討する。また、緊急対策として富士山全周に土石流をせき止める大型コンクリートブロック約2万個を備蓄する。

 両県での事業の総額は約890億円で見直し前より60億円増。砂防えん堤などの整備は国が事業費の3分の2、県が3分の1を負担する。
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