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富士山八合目富士吉田市救護所

 山梨県富士吉田市、山梨大学、富士吉田市立病院、富士山吉田口旅館組合でつくる「富士山八合目富士吉田市救護所運営協議会」が、標高3100メートル富士山吉田口登山道沿いの山小屋「太子館」の併設スペースに、夏山シーズン中の一定期間設置。

 広さは約15平方メートル。山梨大学医学部附属病院、富士吉田市立病院をはじめ県内外の医療従事者がボランティアで常駐、24時間体制で登山者などの傷病に対する応急処置にあたる。スタッフは医師と看護師など4人で1班を基本とし、3日間のローテーションで常駐。診療費は無料。

 7合目以上で高山病やけがなど応急処置を必要とする登山者が多く、救護所開設の要望が多かったことを受けて、2001年に当時の山梨医科大学付属病院が試験的に開設し、翌2002年からは地元の富士吉田市も加わり本格的に運営を始めた。参加する医療スタッフは無給ボランティア。これまでには公募で北海道や神奈川県など県外からも参加があった。

 救護所での受診者は、初年の2002年が355人(開設期間37日間)、その後2005年までは300人前後だったが、空前の富士登山ブームに伴い、2006年に424人(同45日間)と急増、2008年には502人(同39日間)を記録し、2010年まで毎年450人以上が受診した。時間帯では未明に集中し、増加の背景として5合目から睡眠をとらずに山頂を目指す夜間の「弾丸登山」の影響を指摘する声が上がった。

 このような状況から、富士吉田市など山梨県側の富士山周辺の市町村などでつくる「富士山環境保全協力金協議会」が、旅行業界に弾丸登山ツアーの自粛を要請するなど、各方面に安全な富士登山を積極的にPR。その結果2011年には、大半が弾丸登山とみられる6合目を午後9時から午前0時に通過する登山者の数が減少、それに伴い受診者数も398人(同42日間)に減少した。

 2017年にはタブレット端末を設置し、医療用語に精通した通訳者と話ができるサービスを開始。対応時間は平日午前8時半~午後6時半で、英語、中国語、韓国語に対応。そのほか、端末を通じて日常会話レベルの通訳と話ができるサービスはポルトガル語、スペイン後、タイ語、ベトナム語、ロシア語で提供。

 2019年には、74言語に対応する多言語通訳機「ポケトーク」を新たに導入。ポケトークは、手のひらサイズの翻訳機。機械に話し掛けると、英語や中国語、韓国語など74言語の音声に翻訳。コミュニケーションを図りながら、治療に当たる。

 2021年には、新型コロナ対策として、問診は悪天候ではない限り原則屋外で実施。検温や海外への渡航歴の確認などを済ませてから室内で診察。診察時は医療用ガウンを着用し、患者が触れた物は小まめな消毒を徹底している。患者の滞在時間を短縮するため、室内での診療時間は1人15分以内を目安。

 2022年の夏山シーズンは、42日間開設。救護所への受診者は213人。受診者の内訳は、高山病が73.2%と最多を占め、低体温などが9.4%。ねんざや打撲、骨折が5.6%、切り傷などが5.2%、筋肉痛や疲労なども5.2%いた。

 2023年の夏山シーズンは、7月15日~9月10日開設予定。

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