1つ前のページに戻る

2020.3.28 所属カテゴリ: 山日紙面で見る富士山 / 3月 /

富士山保全へ15の指標 山梨、静岡両県が作成

10年後の数値示す

 山梨県は27日、静岡県と共同で、富士山の環境保全活動を進めるための数値目標となる「富士山を守る指標」を発表した。清掃活動など環境保全活動の回数を2010年度には1999年度の3倍の270回、参加者数も3倍以上の3万5000人としたのをはじめ、99年度に8.77トンあった富士山5合目以上のゴミ収集量と、168トンに上るゴミの不法投棄量を毎年度それぞれゼロにすることなどを目標に設定した。山梨独自の指標として、99年度に47%だった富士山有料道路(富士スバルライン)のマイカー利用率を毎年度、前年度より低くすることなどを盛り込んだ。

 指標は、山梨、静岡両県で国民的な富士山の環境保全運動の原点となる「富士山憲章」を1998年11月に制定したのを受け、富士山の環境への負荷や環境保全活動などの状況と目標を分かりやすく示し、環境保全活動を推進するために策定を進めていた。

 富士山憲章に基づいた「自然を学び、親しむ」「自然を守り、育む」「自然と人との共生」「環境保全活動」「自然、景観、歴史・文化の継承」の5つの指標からなる「総合指標」と、総合指標をより具体化した「個別指標」として、エコツアーなど富士山環境教育の開催数・参加者数や生活排水クリーン処理率、富士山環境保全活動数・参加者数など15項目を設定した。

 個別指標では、2000年度現在、52%にとどまっている5合目以上のトイレへのし尿処理対策を施した「環境に優しいトイレ」の普及率を2010年度には100%にすることを目指す。森林の整備形態として、育成単層林や天然生林から、水源涵養など公益的な機能を発揮させるため、木の大きさが何層にもなる育成複層林に転換を図ることも目標に掲げた。具体的には2010年度には現在の約2.3倍の3464ヘクタールに増やす。

 富士山の眺望の妨げとなっている電線を、2010年度には1998年度の約2倍の13キロまで地中化することなども盛り込んだ。

 山梨独自の指標では、富士山有料道路のマイカー利用率のほか、富士五湖の水質の環境基準の達成、富士山登山者の平日利用率の2項目を設定。富士五湖は99年度に西湖と河口湖が満たしている環境基準を2010年度には五湖すべてが満たすこと、2000年度は56%だった富士山登山者の平日利用率を毎年度、前年度より高くすることを目標とした。

 個別指標の項目に基づいて現在の総合指標を算定すると、指数は「49」。「自然を守り、育む」指標は高い評価だったが、環境保全活動などが低かった。県では毎年度、守る指標に対する取り組み状況を発表し、指数「100」を目指す。 【当時の紙面から】

(1999年3月28日付 山梨日日新聞掲載)
広告