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2022.11.28 所属カテゴリ: 富士山噴火に備える / 防災キーワード /

富士山火山防災対策等推進に係る協定

 山梨県が、富士山火山防災対策に関し、東京大大学院工学系研究科・東京大工学部と連携し、ドローンや人工知能(AI)、第5世代(5G)移動通信システムなどの最新技術を使用した防災システムを共同研究する。2021年6月3日に両者が協定締結。

 県防災危機管理課と東大大学院によると、研究では、噴火時にドローンからの映像を基にAIが登山者の数を分析し、5Gを使って麓とリアルタイムで情報共有することなどを想定。緊急時の効率的な避難誘導などにつなげる。このほかにも、噴火地点や溶岩流の速度の検証などにも利用できるという。

 県と東大大学院は2020年から富士山の落石について共同研究を実施。協定締結によって、東大大学院は富士山での研究をさらに進め、県は研究成果を火山防災に役立てる狙いがある。

 山梨県と東京大は2022年11月、富士山5合目に設けた基地局を衛星のインターネットサービスにつなぎ、独自の通信網を設ける実験に成功したと発表。実用化できれば、自治体や登山客らがスマートフォンを使い、災害や事故などの情報を共有しやすくなると見込む。

 県富士山科学研究所によると、実験は2022年11月19日に行い、低軌道衛星と呼ばれる民間の商用設備を活用。ローカル5Gの基地局を5合目に特設し、衛星の通信サービスと接続したところ、試験的にインターネットの利用環境を整えることができたという。

 研究所は「富士山での新たな通信網の実用化に向けて一歩進んだ。ただ、施策として展開するには費用面などで課題は多く、研究を続ける必要がある」としている。

 通信網が整備された際は県や地元市町村、山小屋管理者など、保全管理を担う事業者側の優先利用を想定。雪崩、大雨、遭難、落石事故などの緊急時、円滑な情報共有が可能になり、安全対策を講じやすくなるとみられる。基地局を通じて5G対応のスマートフォンやタブレット端末で通信でき、災害対応訓練などで試行したい考え。

 大容量の通信環境を整備できれば、登山客や観光客の利用も可能とみられるという。将来的にはバギーなど車載用の基地局をつくり、登山道などの難所でも通信できる仕組みを考えている。

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