「聖地」誘客へ続く挑戦　「ホットスポット」で注目　精進湖畔

ドラマの登場人物が会話したシーンを再現できるベンチに座る観光客＝富士河口湖町精進

　１４日午後、人気ドラマ「ホットスポット」のロケ地となった富士河口湖町の精進湖畔にドラマのファンが訪れていた。ファンの女性は「日常系のドラマにＳＦの要素があり、面白かった。実際の撮影場所を見ることができてうれしい」と“聖地”で笑顔を見せた。

　富士北麓を舞台にしたドラマは、郡内地域で主要なロケが行われた。精進湖畔では主人公の勤務先として「精進マウントホテル」が撮影に使われた。市川実日子さん演じる遠藤清美と、小日向文世さん演じる村上博貴がベンチに座って会話するシーンの舞台にもなった。町はロケ地巡りを楽しんでもらおうと、３月に他手合浜にシーンを再現できるベンチを設置した。

　ドラマに登場したコンビニエンスストア「ヤマザキＹショップ精進湖店」は、店舗の一角にドラマの公式Ｔシャツやタオルなどを扱う販売コーナーを設けた。男性店主（５３）は「放送が終わっても精進湖を訪れるファンは多い。売り上げの増加につながっている」と顔をほころばせる。

　霊峰の北西にある精進湖は、富士五湖の中で最も面積が小さい。富士山の麓に大室山が重なって見える絶景スポットで「子抱き富士」と呼ばれる。一方で、精進湖観光協会によると、ヘラブナ釣りを楽しむ釣り客は減少。交通の便が良い河口湖畔に比べると、観光客は少ないという。

　聖地巡礼に訪れるファンの“熱”が冷めないうちに滞在型観光を促すことができるか－。関係者の挑戦は続く。

(2025年12月25日付 山梨日日新聞掲載)