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2020.3.18 所属カテゴリ: 山日紙面で見る富士山 / 3月 /

噴火の影響強い山中湖 県環境研、湖底の堆積物を調査

 富士五湖の山中湖と河口湖の湖底の堆積物を比較すると、山中湖は富士山の火山活動の影響が強く表れているのに対し、河口湖は少なく、両湖の湖底堆積物の構成に大きな違いがあることが、県環境科学研究所の調査で17日までに分かった。

 昨年12月に両湖で行ったボーリングで採取した堆積物を分析した結果、判明した。調査を担当している地球科学研究室の輿水達司研究員は「影響が大きい山中湖からは環境変遷に加え富士山の火山形成史が、少ない河口湖からは詳細に連続した環境変遷を知るデータが得られた」と話している。

 輿水研究員によると、湖底のボーリングは、山中湖が深さ約20メートル、河口湖は約40メートルまで行い、それぞれから採取した堆積物を1センチ刻みで詳細に分析した。その結果、山中湖は富士山が噴火した時に噴出する「スコリア」と呼ばれる小粒の石の層が少なくとも50-60あった。これに対し、山中湖の2倍の深さまで掘った河口湖にはスコリア層が10前後しかなく、山中湖の方が最近の富士山の火山活動の影響を強く受けていることが分かった。

 河口湖の方は「シルト」と呼ばれる粘土層が多かったことから、「植物などの含有物を調べることで、富士山周辺の連続した環境変遷の解明ができる」(輿水研究員)という。

 また河口湖では、湖底から深さ15メートル前後-30メートル前後にかけて、溶岩が流れてきたことを示す安山岩溶岩の厚い層があった。

 両湖の堆積物の調査は同研究室を中心に、山梨大や東京大、信州大などの研究者十数人で実施。有機化学、無機化学、年代学・堆積学、古生物学(化石)の4つの角度から分析している。

 同研究所では今後、両湖の堆積物をさらに詳しく調べるとともに、来年度は別の湖でもボーリング調査を計画。両湖との比較などを通して、特定されていない富士五湖の形成時期や形成過程、富士山を含めた周辺の自然環境の変遷などの解明を進めていく。 【当時の紙面から】

(1999年3月18日付 山梨日日新聞掲載)
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