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2020.12.14 所属カテゴリ: ふじさんクエスト / 社会・歴史 /

富士山噴火の歴史刻む14層

 富士山噴火の歴史を探るため、山梨県富士山科学研究所が2020年に山中湖村内で行った掘削調査で、過去約4千年分の地層から、1707年の宝永噴火時には55センチの降灰が堆積したことを確認、木造家屋が倒壊する恐れがある量という。同村では約4千年間で噴火に伴う降灰が少なくとも14回あったことも把握。調査内容は今後、噴火ハザードマップ(危険予測地図)の基礎資料などとして活用する。

 研究所によると、調査は2020年11月24日~12月8日、一般には立ち入りが制限されている東京大大学院の研究施設「富士癒しの森研究所」の演習林で実施。重機で深さ6メートルまで掘削して約4千年分の地層を調べたところ、14層の火山灰の地層を確認。12月11日に報道陣に公開した。

 宝永噴火時の地層は最上層にあり、55センチの火山灰が堆積している様子を確認できた。このほか、約2300年前の地層では約70センチの火山灰が積もった形跡があった。

 火山灰が30センチ以上の厚さの場合、降雨によって重みが増すと木造家屋が倒壊する恐れがあるという。火山灰は雪の2倍以上の重さがあるといい、研究所の富士山火山防災研究センターの吉本充宏センター長は「火山灰が50センチ以上降り積もると、ビニールハウスや物置などの倒壊が考えられる」と指摘。

 研究所は年1回程度、火山灰の分布を調べるための地層調査を実施。今回の調査結果は2021年春ごろにまとまる改定版ハザードマップには反映されないというが、次回以降の改定時に基礎資料として活用する。

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