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2022.12.03 所属カテゴリ: ふじさんクエスト / 文化・芸術 /

無病息災祈り大念仏

無生野の大念仏

 山梨県上野原市秋山の無生野地区に伝わる伝統芸能「無生野の大念仏」は、住民が一堂に集まって「念仏踊り」を行う行事。踊り念仏の原型をそのまま伝える民俗芸能として貴重とされる。市教委によると、江戸時代まで県内各地で見られたが、今も完全な形を残すのは無生野地区のみという。

 起源は、南北朝時代に入る直前に無念の死を遂げた、後醍醐天皇の皇子の護良親王ときさきの雛鶴姫の供養という説がある。儀式を行うのは旧正月の1月16日と盆の8月16日。1960年に県の無形民俗文化財に、1995年には国の重要無形民俗文化財にそれぞれ指定。

 会場には「道場」と呼ぶ区画を設けて踊りの場とし、御幣で飾り、中央に太鼓を据える。無生野大念仏保存会のメンバーが白装束で大太鼓と鉦(しょう=鐘)を鳴らし念仏を唱え、小太鼓や太刀を持って踊る。

 小太鼓を持つ「太鼓振り」と青竹の棒を持つ「棒振り」、太刀を持つ「太刀振り」の3人による「一本太刀」から始まる。信仰を得た喜びを踊りで表現。3人が道場に入り、踊りながら大太鼓の周りを巡る。静かに3回巡った後、鳴り物のリズムが速くなり、後の3回は激しく踊る。

 布団に寝る病人や老人に扮した人の上を飛び越え病を追い払う「ぶっぱらい」と呼ばれる儀式もある。最後に寝ている人の枕元に教主が座り、祈祷を行い、御幣に悪霊を移す。

 一方、保存会は会員の少子高齢化による後継者不足に直面している。さらに新型コロナウイルスの影響で2020年8月の盆から公演を自粛、練習する機会も少なくなっているという。

 国の文化審議会が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産への登録を目指す国内候補に、全国各地に伝わる「風流踊」を選定。風流踊は華やかな衣装をまとい、太鼓や笛のはやし、歌に合わせて踊るのが共通の特徴。豊作祈願や厄災払い、先祖供養など地域の歴史や風土を反映した祈りが込められている。「無生野の大念仏」など盆踊りや念仏踊りなどとして伝承された24都府県の41件をまとめて一つの遺産とみなし、2020年3月に政府がユネスコに申請書を提出。2022年11月1日、ユネスコの評価機関が無形文化遺産に登録するよう勧告した、と文化庁が発表。モロッコで開催のユネスコ政府間委員会で11月30日、勧告通り登録が正式決定。

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