2023.4.01

降灰時1階へ退避

1週間分の備蓄求める

 富士山火山防災対策協議会は富士山噴火に備える避難基本計画の最終報告で大規模降灰時の対応を初めて示し、住民は自宅などの屋内に退避することを原則とした。事前に食料やヘルメットなどの備蓄品を用意しておき、1週間程度は避難生活を送れるよう準備することも求めた。

 最終報告によると、自宅で待機する場合は屋根が降灰の重みで崩れても直撃しないよう、主に1階で過ごすことが望ましいと提案。自宅の強度に不安を感じる場合、近隣の鉄筋コンクリート造りなどの強固な建物に避難するよう求めた。避難生活の備えとしては、食料や飲み水、ヘルメットのほか、ゴーグルやマスク、医薬品などを推奨した。

 一方、建物が溶岩流や土石流、火災などに見舞われる危険がある場合は「立ち退き避難を行う必要がある」と指摘。噴火が落ち着くまでは降灰で視界が遮られることなどから車での移動は危険として、徒歩での避難を提案した。

 富士山噴火の改定版ハザードマップに盛り込まれた降灰の想定マップによると、山梨県内は富士北麓地域が30~50センチ、大月市や上野原市などは10センチ、国中や峡南地域の大部分は2センチ、それぞれ積もると試算。ただ、噴火の規模や風向きなどによって影響の範囲は変化するとみられている。

 協議会は「近代では大規模降灰の発生例が少なく、知見が足りない。研究が進み新たな情報が得られた場合は、より詳細な対応策を検討する」としている。

(2023年3月30日付 山梨日日新聞掲載)

広告
月別
年別