2023.6.27

生物多様性保全考える シンポ、研究者講演

研究者による講演が行われたシンポジウム=富士吉田・県富士山科学研究所

 富士吉田市の県富士山科学研究所は25日、同所で富士山の世界文化遺産登録10年を記念したシンポジウムを開いた。4人の研究者が富士山の生物や森林、資源について講演した。
 「富士山とくらす私たちの生物多様性とSDGs(持続可能な開発目標)」をテーマに、生物多様性をどのように保全、活用していくかを考える機会にしようと企画した。
 上智大大学院の織朱実教授、茨城大の山村靖夫名誉教授、元富士山科学研究所副所長の北原正彦さん、研究所の小笠原輝主任研究員の4人が講演した。
 北原さんは富士山周辺に生息するチョウに関する研究を報告。青木ケ原樹海の縁のエリアに多くのチョウが生息し、北富士演習場には希少なチョウが生息していることを解説した。チョウの多様性と希少種の保全には、野焼きや草刈りといった人的管理によって「草原を維持することが極めて重要だ」と語った。
 4人の講演者と同研究所の安田泰輔主幹研究員によるパネルディスカッションもあり、富士山の豊かさを守っていくため、意見を交わした。〈仲沢篤志〉

(2023年6月26日付 山梨日日新聞掲載)

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