2025.9.21

富士噴火備え図上演習 県と10市町村など「ブラインド訓練」

 県や富士山周辺の10市町村などでつくる「富士山火山防災対策協議会 県コアグループ会議」は17日、富士吉田市の県富士山科学研究所で、富士山噴火対応に関する図上演習をした。同会議では、毎年テーマを設けた演習を実施していて、今回はより実践的な対応力向上を目指して、事前に設定やシナリオを参加者に伝えない「ブラインド訓練」の形式で実施した。

 県や市町村の防災担当者、観光関連事業者ら約70人が参加。開山期間中に「火山の状況に関する解説情報(臨時)」が発表され、4日後に噴火警戒レベル3(入山規制)に引き上げられるとの設定で実施した。引き上げられたのは平日午後2時で、約1500人の登山者が富士山にいると想定した。
 参加者らは演習が始まってから設定を聞き、富士山からの距離や地域状況に応じて6グループに分かれて、対応を協議。一般住民のほか、要配慮者や観光客、児童生徒らの避難対応について、各関係機関の役割を話し合った。避難基本計画で規定されている行動と実施主体の確認もした。
 その後、「インターネット上でデマが拡散されている」や「自主避難者の車の滞留」といった細かい設定を追加した上で、可能な対応と課題を洗い出した。各グループからは「正確な情報を伝えるために定時の記者会見を開く」「バス事業者と連携して、国中地域へのピストン輸送を行う」といった対応策が出た。「要配慮者が長期間いることができる避難所の確保が必要」などの課題も浮かんだ。

(2025年9月18日付 山梨日日新聞掲載)

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