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富士山世界文化遺産・構成資産『吉田口登山道』

 山梨県富士吉田市上吉田の北口本宮冨士浅間神社から富士山頂まで続く登山道。江戸時代に、富士講の中興の祖とされる食行身禄が、富士講信者の登山本道を吉田口と定めたため、18世紀後半以降は多くの人でにぎわった。

 1964年、ふもとと5合目を結ぶ富士山有料道路(富士スバルライン)が開通して以降、1合目からの登山者は激減。ただ、近年はスローペースで楽しむ富士登山が見直されている。

 北口本宮冨士浅間神社から樹林帯の中を進むと、「馬返し」に出る。市内にある金鳥居と山頂のほぼ中間。道沿いには、江戸時代の富士講信者が奉納した石碑や灯籠が並ぶ。富士講の歴史を刻む古の道だ。

 6合目の安全指導センターで、富士スバルライン5合目からの登山道と合流。山頂までに16の山小屋が点在。登山道は、近年は7、8月の夏山シーズンに20万人が利用する。

 遺産登録後、環境保全や安全対策を目的に富士山保全協力金(入山料)の徴収が始まった。2021年には1合目下「馬返し」付近の茶屋「大文司屋」が半世紀ぶりに復活。富士吉田市は2023年から2年をかけ、登山道の保存と活用に向けた調査を実施する。

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