閉山期の救助、登山者負担で 富士吉田市長 国、県に要望へ

閉山期の富士山登山者の救助費用について言及する堀内茂市長=富士吉田市役所
富士吉田市の堀内茂市長は13日の定例会見で、富士山の閉山期間中に登山者が遭難した際の救助費用について「有料化すべきだ」と述べた。静岡県側で4月に遭難が相次いだことを受けた発言で、理由について「警告を発する意味で、登山保険に入ってもらいたいとの思い」と説明。国や県に冬山登山の規制について要望する意向も示した。
堀内市長は、過去に発生した遭難救助者の事故を事例に「気流の悪い富士山の中で救助も命懸けだ」と強調。「燃料も含めて多大な経費がかかっており、県民の負担になっている」とも述べ、「冬山登山の規制について、静岡県側の自治体と力を合わせて県や国に訴えていく。できれば閉山期に入る9月には要望活動をしたい」と話した。
4月には富士山頂付近で体調不良により救助された大学生が5日後に、置き忘れた携帯電話などを回収するために単独で登山し、富士宮口8合目付近で体調を崩して再び救助されるケースがあった。静岡県富士宮市によると、須藤秀忠市長は今月9日の定例会見で「安易な気持ちで登って遭難するのは自己責任。個人負担も考えるべきだ」と発言した。
埼玉県では2018年から、危険度の高い県内6カ所の山で県防災ヘリによる救助を受けた場合、一律の手数料(24年度からは飛行5分ごとに8千円)を納付させる条例を施行。同県消防課によると、10年に発生した県防災ヘリ墜落事故を受けての対応で「危険が伴うエリアについては応分の負担を求めている」とした。
山梨県警地域課によると、24年の閉山期間中に7件の遭難が発生。県消防保安課によると、県警や消防による救助費用は全額県負担で「県内自治体の考えを聞きながら、先行する埼玉県の事例を確認したい」と話した。
(2025年5月14日付 山梨日日新聞掲載)