宝永噴火 灰で家屋火災か 富士山麓 県や東大が静岡の遺跡調査

宝永噴火の降灰で埋没した遺跡の発掘調査の成果について話す吉本充宏研究部長=静岡県小山町須走

発掘調査で出てきた食器の破片など=静岡県小山町須走
山梨県と県富士山科学研究所、東京大は7日、1707年に起きた富士山の「宝永噴火」の降灰で埋没した、静岡県小山町須走の遺跡で進めている発掘調査の成果を公表した。発掘場所から平屋家屋の痕跡が見つかり、噴火から2日目に火災によって完全に倒壊したことが推測できることが分かったという。
7日、発掘現場で開かれた地元住民ら向けの現地説明会。火山地質学が専門の県富士山科学研究所の吉本充宏研究部長が、調査から見えてきた成果について報告した。
発掘調査は、内閣府の補助金を活用した県事業と、東京大との共同プロジェクトとして、11月27日~12月11日に実施。研究所や同大によると、須走地域で宝永噴火に関する発掘調査を実施するのは初めてという。
調査では、約150平方メートルの区域で1メートル50センチ~2メートルの深さを発掘。はりや柱とみられる炭化した木材が、噴火から2日目の火山灰の中から見つかった。幅30センチほどの大きな木材が直交している構造がみられ、建築の専門家などの判断も仰ぎ、屋根がそのまま下につぶれる形で埋まっていると推測できるという。
発掘では、食器などの家財道具や穀物の痕も見つかった。今回の調査は屋根までの発掘のため、さらに深く掘れば生活道具はますます出土するとみられる。
県と同研究所は、今回の成果を踏まえて、来年1月上旬にも火山灰が家屋に与える影響を調べる検証実験を行う予定。
(2025年12月8日付 山梨日日新聞掲載)

