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「環境保全進む」8割

富士山世界遺産登録で期待と不安 ごみ投棄、渋滞懸念も7割超

 山梨日日新聞がインターネットを通じて実施した、富士山の世界文化遺産登録に関するアンケートでは、登録によって富士山周辺の環境保全が進むことに期待する人が8割を占めた。半面、観光客の増加に伴うごみの投棄や交通渋滞を懸念する声も7割以上に上り、期待と不安が交錯している様子がうかがえる。

 登録によって期待することを複数回答で聞いたところ、環境保全に次いで、「富士山や山梨県の国際的知名度の向上」が54.8%、「観光客増加による経済効果」が52.7%だった。

 自由記述でも「環境保全は今よりもシビアにやってもらいたいので世界遺産登録には賛成」(30代男性)、「環境などを考えるきっかけになる」(30代女性)など前向きな意見が目立った。「知名度が大幅にアップし、県民の誇りにつながる」という20代女性や、「富士吉田市へ転居予定だが、登録による新たな雇用などは期待できる」という30代女性の声もあった。

 一方、登録後の課題に関する質問(複数回答)では、観光客の増加に伴う「交通渋滞や生活環境の変化」(76.8%)や、「ごみの増加」(73.3%)を指摘する回答が多かった。

 50代男性は、登録で富士山を訪れる観光客が増えることを想定し、「道路渋滞がひどくなり大気汚染が起きるのは良くない」と懸念。40代男性は「環境破壊が起きないようごみの分別や持ち帰りは徹底させてほしい」と訴えた。30代女性は「ごみを捨ててはいけない場所には鳥居を設置するなど工夫しては」とのアイデアを寄せた。

 「観光客の受け入れ態勢」を課題に挙げた人も49.8%に上った。40代女性は「通常の観光シーズンでも渋滞がひどい。交通量の増加に備え、道路や駐車場などはしっかり整備してほしい」と注文。「登録前に環境や交通網の整備、県民意識の高揚などさまざまな対応が必要」(50代男性)など、登録を見据え、事前の準備を求める意見もあった。

(2011年12月15日付 山梨日日新聞掲載)
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