1つ前のページに戻る

【富士山噴火ハザードマップ・改訂版】<5>火砕流

東富士五湖道路寸断も

 火砕流は富士吉田、鳴沢、山中湖の3市村に到達するとみている。到達距離は北東側の富士吉田市内で約4キロ延び、東富士五湖道路を寸断する可能性もあるとしている。

 火砕流は火山灰や大小さまざまな岩石が高温の火山ガスや取り込んだ空気と一団となって、斜面に沿って流れる現象。時速数十キロの速度で流れ、時速100キロを超えるケースもある。1991年には雲仙・普賢岳(長崎県)で大火砕流が発生し、43人が犠牲になった。

 今回のハザードマップでは、2004年版の約4倍に当たる1千万立方メートルの火砕流が噴出するとの想定で予想。火砕流の発生地点は30度以上の急勾配が続く分布を基に想定し、04年版の約4倍の35地点を設定。このうち、山梨県内に影響するのは20地点だった。

 04年版は富士山頂から円状に火砕流の範囲が広がっていたが、精密な地形データを用いたことで、到達距離は延伸。傾斜が急な北東方向(富士吉田市方面)と南西方向(静岡県富士宮市方面)に長く流れるとみられている。発生後、6分で東富士五湖道路を横切り、国道138号に迫るケースもあった。

 火砕流の到達する範囲から1キロ以内は、熱風や砂嵐などを伴う「火砕サージ」が生じる恐れもある。

 火災サージは主に熱い空気や火山ガスなどの気体と、火山灰・小さな噴石などが混じって高速で広がる現象。一般に火砕流より温度が低く、流れの密度も希薄とされるが、非常に高温で熱死したり、火災が発生したりする危険があるという。

広告