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【富士山噴火ハザードマップ・改訂版中間報告】<1>小規模溶岩流

 山梨、静岡、神奈川各県などでつくる「富士山火山防災対策協議会」が2020年3月、改定中の富士山噴火の被害を想定したハザードマップ(危険予測地図)の中間報告を公表。中間報告では2019年度中にシミュレーションが終わった小規模溶岩流と火砕流の結果を公表した。

 小規模溶岩流は92パターンをシミュレーションした。このうち山梨県が関連するのは44パターン。市街地に近い北東斜面から溶岩流が発生した場合は、約2時間で富士吉田市内に到達する想定となった。

 火口に当たる計算開始点は大規模、中規模を含め現行のハザードマップの約5倍となる258カ所。計算開始点は、居住地へ早く到達し影響範囲が広くなる状況を想定するため、想定火口範囲の外側で谷になっている地点などを設定した。到達時間は最大6日間までとなった。

 全体的な傾向としては、地形データを現行の「200メートル四方」から「20メートル四方」に変更したことに伴い、細かな地形が反映され、一部で到達時間が早くなり到達距離が長くなった。富士吉田市の雁ノ穴火口付近の計算開始点から溶岩流が流れた場合は、約2時間で同市内をのみ込む想定となり、6日間掛けて都留市内まで到達する。

 このほか、新たに想定に加わった「北天神火砕丘火口」(鳴沢村)付近から溶岩流が発生した場合は北側に流れ出た後、進行方向を北東側に変えて河口湖に注ぎ込む。南西側斜面では精進湖や本栖湖まで到達するケースが見られた。東富士五湖道路など構造物の影響を受けるパターンもあった。

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