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2019.11.11 所属カテゴリ: ふじさんクエスト / その他 /

ワカサギ移入100年、次代へ

山中湖、河口湖のワカサギ

 山梨県の山中湖と河口湖にワカサギの卵が持ち込まれてから2019年で100年。山梨市出身の大学院生が新たな魚種を繁殖させようと移入したのが始まりとされる。

 文献によると、山中湖、河口湖にワカサギの卵を移入したのは、日下部村(現山梨市)の生まれで、東京帝国大大学院(現東大大学院)の学生だった故雨宮育作氏。富士山麓の湖水を研究していたといい、1919年2月には、茨城・霞ケ浦産のワカサギの卵を山中湖と河口湖に初めて移入、試験放流した。その後、湖ではワカサギが繁殖、卵は精進湖や市川三郷・四尾連湖にも移入された。

 1936年には、当時、群馬・榛名湖で盛んだった「穴釣り」を、雨宮氏と交流のあった東京帝国大教授が紹介。山中湖で初めて行われたとされる。翌年開催された「山中湖氷上カーニバル」ではカーリングやボブスレーといったウインタースポーツとともに、穴釣りがプログラムに組み込まれ、その後、冬の風物詩として定着したとされる。

 地元住民によると、河口湖も1930年代までは結氷し、穴釣りが行われていたという。ただ、近年は温暖化の影響などで凍ることはなく、山中湖でも2014年を最後に穴釣りは行われていない。

 2000年代に入ると地元のボート業者らが、暖かい船内で釣りを楽しめるドーム船を導入。餌不足による不漁もあったが、漁協関係者がふ化装置の導入をはじめ、稚魚の飼育方法や放流時期、採卵方法を見直したほか、禁漁期を設定。こうした取り組みが実を結び、にぎわいを取り戻している。

 

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