1つ前のページに戻る

2020.3.02 所属カテゴリ: ふじさんクエスト / 文化・芸術 /

令和の富士、今と未来語る [2]

【登山鉄道】長崎知事・環境問題解決の手段 川勝知事・ユネスコの理解必要

 -山梨県は富士山の麓と5合目を結ぶ登山鉄道構想の骨子をまとめました。過去には環境負荷への懸念などから具体化せず、国連教育科学文化機関(ユネスコ)サイドの見解も見通せない状況です。構想への考え方を聞かせてください。
 長崎知事 そもそもの問題意識は、今のバス交通の環境に対する影響はどうなのかということ。富士山の観光、環境、経済に関する課題を解決する上で、鉄道は一つの手段ではないか。議論のたたき台は富士山有料道路(富士スバルライン)の上に路面電車的なものを走らせる案だが、基本的に今の交通体系よりも環境には優しい。環境を改善するためにやるので、何も改変しない。区別して考えてほしいのは、5合目までの噴火や火山災害の防護を考えたとき、現状では課題があり、やらねばならないことがあるということ。さらに、通年で富士スバルラインを通行できない問題がある。
 川勝知事 登山鉄道と聞いたとき、イメージとして排出ガスを出す自動車よりもよほどいいのではないかと思った。ただ、関係者から「ユネスコに開発行為と捉えられ、場合によっては世界遺産の取り消しになる可能性がある」との指摘を受けて驚いた。事業を進めるのであれば、ユネスコにしっかりと説明して理解を求めていかないといけない。

 -構想の進め方についてはどのように考えていますか。
 長崎知事 最大の問題は、安全確保と景観との調和だ。鉄道は入山規制のコントール手段としてはかなり有効。鉄道自体が観光資源にもなり得る。具体案を示した上で、いろいろな議論が湧き起こればいい。大原則は富士山は皆のものだということだ。
 川勝知事 今は排出ガスの出ない電気自動車も登場している。鉄道ではなく、現状の富士スバルラインをそのまま利用するという考えもある。自動運転など21世紀型の交通を見据えた議論も出てくるのではないか。

広告