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2021.1.28 所属カテゴリ: 山日紙面で見る富士山 / 1月 /

富士山に新交通手段 幸住県計画

 山梨県議会の全員協議会が27日開かれ、天野知事が来年度スタートする長期計画・幸住県計画の基本構想、キホン計画案の概要について説明した。知事は、富士山5合目に通じる県営富士山有料道路のマイカーに代わる将来の交通手段として、クリーンエネルギーを利用した新たな公共交通システムの導入を検討していく考えを明らかにした。車の渋滞や排ガスによる環境汚染への抜本対策といえ、電気自動車や登山鉄道などが候補として挙がっている。県企業局は今世紀中の導入を目指し、来年度から採算面などの具体的な検討を始める。

 富士山有料道路の新交通システム構想は、幸住県計画の基本計画(計画期間1994年度-2003年度)のうちの交通体系づくりの一環。知事は「富士山の自然環境を保全するため、環境にやさしいクリーンエネルギーを活用した新たな交通システム導入を検討する」と説明した。

 県企業局によると、今後、富士山への観光客の増加に伴って同有料道路を利用するマイカーも増え、渋滞や排ガスによる環境汚染の心配が高まることが予想されるため、車両を全面規制した上で、車に代わって電気エネルギーなどを使った公共交通手段を確保する抜本的、長期的な取り組みが必要と判断した。

 現在、候補に挙がっている方法は電気バス、登山鉄道、常温リニアモーターカーなど。来年度から、どの方法が採算ベースに合うか、落雷や低温など気候的問題を克服できるか、また途中で乗降が可能か-といったテーマについて具体的な検討に入る考えだ。システム導入にあたっては「道路を拡幅するような新たな開発をせず、現状のまま使いたい」としている。 【当時の紙面から】

(1994年1月28日付 山梨日日新聞掲載)
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