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2020.11.05 所属カテゴリ: 富士山噴火に備える / 防災キーワード /

富士山の火山噴出物から過去の地磁気変動モデル作成

 山梨県富士山科学研究所が、富士山麓で採集した溶岩から、過去に起きた富士山噴火の時期や休止期間を高精度に推定する手法を開発したと発表。溶岩が保持する「地磁気」を解析して噴火時期を推定する方法。富士山噴火の実態解明や今後の防災対策に役立つと期待。

 研究所によると、富士山はこれまで、地層の積み重なりや歴史史料などから、過去3200年間で約100回の噴火があったと推定されてきた。しかし、特定が難しいケースがあったという。

 溶岩には「磁鉄鉱」と呼ばれる鉱物が含まれており、噴火時の地磁気が記録されている。地磁気は数十年から数百年の期間で、方向や強さが絶えず変化しており、溶岩に記録された地磁気を解析すれば、噴火年代を推定できるという。

 研究所は2015~19年、富士山麓の山梨、静岡両県内の111カ所から溶岩を採取し、溶岩に記録された地磁気を解析。紀元前1000年から紀元後1100年ごろまでの地磁気変動モデルを作った。個々の溶岩に記録された地磁気を、このモデルと照らし合わせることで、噴火年代を高精度に推定できるという。

 これまで地磁気変動は窯跡の焼土や土器などから推定されてきた。しかし、土器が野焼きされていたとされる紀元後400年以前のデータが乏しかったという。富士山はその前から噴火を繰り返しており、今回の地磁気変動モデルを利用し、噴火の年代を推定することが可能となる。

 この手法は2020年11月の地球電磁気・地球惑星圏学会で発表された。

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