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富士山への熱い思い語る

「NPO国民会議」シンポジウムで各界代表者

トークセッション

トークセッションで富士山への思いを語り合う(右から)新井満さん、遠山敦子さん、小田全宏さん=東京都港区の電通ホール(2005年12月)

 昨年12月に都内で開かれた「NPO富士山を世界遺産にする国民会議」(会長・中曽根康弘元首相)のシンポジウム。世界文化遺産登録に向けた運動に賛同する、政治、経済、文化、など各界代表者らが、それぞれ富士山への熱い思いを語った。

 中曽根会長は旧制高校時代、故郷の群馬を離れ、富士山を臨む静岡で過ごした。「子どものころは“富士は日本一の山”と書き初めをしたもの。富士山を間近に見たくて静岡高に進んだ」と愛着を口にした。

 トークセッションでは小田全宏運営委員長がナビゲーターを務め、元文部科学大臣で新国立劇場運営財団理事長の遠山敦子さんと作家の新井満さんが、富士山への思いを語った。

 遠山さんは「小学校1、2年のころ、百人一首で“富士の高嶺に雪は降りつつ”の札は絶対取りたい札だった。富士山にあこがれがあり、父の転勤で静岡に移り住んだことがうれしかった記憶がある。小、中、高校時代を通じて、精神の高さ、理想を求める生き方を富士山から教えてもらった」と振り返った。

 新井さんは、自らが新訳したサムエル・ウルマンの「青春の詩」を引用しながら、「訳に悩んでいた時期に富士山を見て突破口が開けた。崇高な富士山を仰ぎ見ながら暮らすと、小さなことにくよくよしたり、思いわずらうのがばかばかしくなる。背筋がシャキッと伸びて、志を高く持てる感じ。私にとって富士山は永遠の青春である」と話した。

 トークセッションの後、「富士山応援団」として出演した、南都留郡富士河口湖町で自然楽校を運営するタレントの清水国明さんは「富士山は人を招き入れる吸引力とエネルギーがある。周辺を歩くだけで人間も元気になる」と述べた。

(2006年1月1日付 山梨日日新聞掲載)
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