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富士山を世界文化遺産に

山梨県知事 横内 正明

 富士山は、日本の最高峰であるとともに、その雄大で秀麗な姿などから日本の象徴として、老若男女を問わず、時代を超えて愛され続けてきた名山であります。

 また、動植物や地形・地質など貴重な自然環境を有し、美しい景観や豊富な地下水などの恵みをもたらしてきた富士山は、特徴ある歴史・文化をはぐくみ、信仰の対象や文化創造の源として、人々と深いかかわりをもってきました。

 この日本一の名峰を世界文化遺産に登録し、人類共通の財産として守り、後世に引き継いでいくことは、私たちの大事な責務だと考えています。

 昨年11月に静岡県で開催された「富士山世界文化遺産国際シンポジウム」において、世界遺産に関する国際的な専門家から、富士山は、信仰および芸術面で世界文化遺産となりうる価値を十分有しているという高い評価をいただき、登録への手応えを強くしました。

 しかし、登録件数が全世界で800件を超える中で、世界遺産登録を取り巻く状況は年々厳しくなっており、昨年の世界遺産委員会で「平泉」が登録延期になったように、審査のハードルが年々高くなっています。

北口本宮富士浅間神社、葛飾北斎「凱風快晴」

 そこで、登録に万全を期すために、登録要件である富士山の顕著な普遍的価値を世界の人々に分かりやすく説明していくための準備作業を進めています。

 今年度は、文化財の指定手続きやこれらの資産を保護・保全するための保存管理計画の策定など、登録に向けた作業がヤマ場を迎えており精力的に取り組んでいます。

 今後とも、静岡県や地元市町村との連携を一層強めながら、来年の6月までに、県や市町村が行う必要な作業を終え、7月には、これらを取りまとめた推薦書原案を文化庁へ提出していきたいと考えています。

 富士山の崇高で圧倒的な存在感は、まさしく日本の宝物であり、世界に誇る財産としてふさわしいものです。

 世界遺産への登録は、県民が富士山の歴史的な遺産に誇りを持ち、富士山の保護・保全に対する意識を一層高めることにつながるとともに、富士山の持つ魅力やその素晴らしさを国内のみならず世界の人々に広く知っていただく良い機会になると思います。

 富士山ができるだけ早期に世界文化遺産に登録されるよう、県民の皆さまと共に取り組んでいきたいと思っておりますので、今後とも、御理解と御支援をよろしくお願いいたします。

(2009年7月1日付 山梨日日新聞掲載)
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