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富士山世界遺産登録へ期待高まる

 山梨、静岡両県が目指す富士山の世界文化遺産登録の行方は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)の「登録」勧告を受け、実現する見通しとなった。6月にカンボジア・プノンペンで開かれる世界遺産委員会で登録が正式に決まる。

「富士山」の主な構成資産

 富士山の世界文化遺産登録を目指す動きが始まったのは2005年。政治、経済、文化など各界有志によるNPO法人「富士山を世界遺産にする国民会議」が発足して機運が盛り上がり、山梨、静岡両県は同年12月、合同会議を立ち上げて活動を始めた。

 富士山は富士講などの信仰が残り、古くから葛飾北斎の絵画や和歌で表現され、芸術、文学に影響を与えてきたとして普遍的価値をアピール。07年、世界遺産候補が記された暫定リストに登載された。

 ユネスコに提出した推薦書は、富士山の価値を「信仰の対象、芸術の源泉となった日本を象徴する名山」との観点で説明している。

 文化的価値や保全状況を確認するため、昨年8~9月、イコモスの専門家が構成資産25件を現地調査。今年3月には、イコモスの提案を受けて日本政府は登録の名称を「富士山」から「富士山と信仰・芸術の関連遺産群」に変更。構成資産「三保松原」の除外には応じなかった。管理保存などに関して追加情報を求められ、地元関係者はイコモスの勧告を注視してきただけに、今夏の山開き前の登録実現を待ちわびている。

(2013年5月2日付 山梨日日新聞掲載)
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