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2022.7.21 所属カテゴリ: 山日紙面で見る富士山 / 7月 /

富士山頂の石文字一掃

山梨、静岡がクリーン作戦

 環境庁や山梨、静岡両県などでつくる「富士山美化推進会議」は20日、富士山頂でクリーン作戦を行い、景観上問題になっていた「石文字」を一掃した。石文字は、登山客が登頂記念に石を置き並べてつくったもので、山頂の隠れた”名物”。しかし国立公園の特別保護地区であることから、約百人を動員して石を片付け、原状回復した。

 撤去作業には、環境庁、県景観自然保護課、県山岳連盟、日本ヒマラヤン・アドベンチャー・トラストなどのメンバーが参加。ジャンパー姿に手袋のいでたちで、石文字を形作っている石を手作業で一個ずつ移動させた。30分ほどの作業で、ほとんどの石文字が姿を消した。

 石文字は、山頂北東側の「金明水」周辺に数百あった。一つ一つの大きさは1メートル-5メートル四方。登山者や登山グループが登頂を記念し、山頂の周辺にある白っぽい石を並べ、名前や思い思いの模様、メッセージを表現していた。

 以前からあったがここ数年急増。昨年7月の地種区分で富士山5合目以上が特別地域から最も規制の強い特別保護地区となったため、「景観を損ねる上、今後は自然公園法にも抵触する」として、撤去に踏み切った。クリーン作戦を陣頭指揮した環境庁は「あるがままの自然に戻すのが好ましい。今後は再発防止に努めたい」(富士箱根伊豆国立公園管理事務所)と話していた。

 また富士山美化推進会議は同日、8合目から山頂までの登山道で清掃活動を行い、可燃ごみ6キロ、不燃ごみ23キロを回収した。

 一方、この日の富士山は大勢の登山客でにぎわった。富士山安全指導センターによると、19日の入山者数は1万1300人で山開き以来初めて1万人を超えた。 【当時の紙面から】

(1997年7月21日付 山梨日日新聞掲載)
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