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2022.11.01 所属カテゴリ: 富士山噴火に備える / 防災キーワード /

火山避難判断支援システム

 山梨大が富士山の噴火対策として、地元市町村が住民に避難指示を出す際の支援システムを開発。地域別の人口や学校の位置をまとめた専用地図に、噴火時に国から提供される溶岩流、火山灰の到達予想などの情報がシステムに随時反映される仕組み。機械化することで、各自治体は避難指示が必要なエリアとタイミングを迅速、的確に判断できる。県や市町村の対応訓練で使ってもらい、実用化を目指す。

 山梨大地域防災・マネジメント研究センターによると、システムには、あらかじめ地区ごとの人口をはじめ、学校や病院、高齢者施設、給油所の詳細な場所などを地図上に登録。県などが作成した溶岩流や火山灰の危険予測データも取り込み、基礎情報とした。

 実際に富士山が噴火した際、気象庁などから提供される噴火口の位置、溶岩流や火山灰の規模、到達予想などの情報をシステムに登録する。噴火後20分程度が経過するまでに、気象庁から提供された溶岩流などの情報を、人口や施設などを登録した地図上に一元化して反映。溶岩流などが到達すると予想されるエリアは、噴火発生後の経過時間ごとに地図上で確認できる。

 現状の体制では、噴火時に市町村は人口や学校の位置、溶岩流の到達予想など各種データを手作業で見比べて分析し、溶岩流などの到達時間が早い地域から順に避難指示を出す。センターは市町村の負担を減らし、的確な分析と指示の判断につながるよう、画面上で容易に情報を管理、確認できるシステムを作ることにした。

 センターは今回、初期段階として溶岩流や火山灰に特化したシステムを開発。今後は噴石や降雨時の土石流を含め、幅広い火山災害に対応できる内容に改良するという。複数の火口からの噴火を想定した機能も持たせたい考え。

 2022年10月28日には富士吉田市の県富士山科学研究所で、センターの秦康範准教授がシステムの概要を説明。開発に協力した同市と富士河口湖町の防災担当者らがシステムを使い、機能を確認。

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