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課題解決へ河口湖で動き

ボート業者が勉強会 業界内の合意形成探る

 富士山の世界文化遺産登録に向け、最大の課題となっている富士五湖の文化財指定。湖畔で営業するボート業者の大半が難色を示す中、河口湖の一部のボート業者は7月末、遺産登録に向けて業者同士の足並みをそろえようと勉強会をスタートした。地元業者が納得する形での登録を目指しており、今後の動向が注目されている。

 勉強会のメンバーは富士河口湖町のボート業者ら8人。現在は業者が繁忙期のために具体的な活動は行っていないが、秋以降に連絡会として組織化を目指す。河口湖畔のほかの業者に加え、山中湖畔の関係者にも声を掛けて連絡会の拡大を図るという。

 勉強会の中心メンバーの一人、保田真二さんは「基本的に世界文化遺産登録には大賛成。観光客増加も見込める上、世界に誇れる遺産で仕事できることは素晴らしい」と、登録に前向きな姿勢を示す。

 ボート業者が難色を示す理由は、世界文化遺産登録によって規制が強化され、営業に支障が出るのではないかという懸念。県世界遺産推進課は「規制が増えることはない」と説明しているが、理解を得られていないのが実情だ。

 また業者の中には、桟橋の面積が許可より広く、“違法状態”となっているケースもある。

 勉強会では、こうした課題を議論。許可より面積が広くなっている“違法状態”について、別の権利者が所有し、現在使われていない「遊休占有権」を業者が譲り受けることで解消できると、解決策を提案する。

 保田さんは「県や町が権利譲渡の仲介役となり、業者の合法化に協力してほしい」と話している。

(2010年8月30日付 山梨日日新聞掲載)
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