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2020.7.14 所属カテゴリ: ふじさんクエスト / 文化・芸術 /

麓の地図、南北が「逆」

富士吉田市では実際には南にある富士山が上に描かれた地図が当たり前

富士吉田市では実際には南にある富士山が上に描かれた地図が当たり前

 山梨県富士吉田市など富士北麓地域の地図には、南北を逆転して富士山を上方に描いたものが数多く見られる。「富士山を下にすることはできない」という意識があることや、日常生活の目印となっていることが関係しているという。

 市内では、資源物の収集所マップやふじさんミュージアムのパンフレット、吉田のうどんマップなどで南側にある富士山を上に配置。新聞の折り込みチラシなどでも、正しい方位を示しながら霊峰を上方に置いていることが多い。

 ふじさんミュージアムによると、富士北麓地域では江戸時代から村絵図で富士山を上に描いてきた。学芸員の布施光敏さんは「富士山を仰ぎ見て暮らしていた人たちにとって、富士山が地図でも上にあるのが自然だったのではないか」と説明する。

 現在でも、地元では富士山方面に行くことを「上る」、逆を「下る」と言うことがあり、布施さんは「信仰してきた富士山を『上』に位置づけて生活していることの現れではないか」と話している。

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