富士山安全指導センター
標高2390メートルの富士山吉田口登山道6合目(山梨県富士吉田市上吉田字富士山北向5618)にあり、夏山シーズン中の7月から9月に開設。建物は鉄筋コンクリート平屋建てで、面積は81.8平方メートル。
1980年8月、吉田大沢砂走り(現在は廃道)で死者12人を数える大規模な落石事故があったため、登山者指導のため山梨県が翌1981年の夏山シーズンから設置した。1992年12月には、土石流で建物が全壊する被害に見舞われ、以後2シーズンは仮設プレハブで業務を行った。1995年に旧施設の跡地に新たに建設。建物は石垣に密接した半地下式とし、落石や土石流が発生した際、屋根の上を流れ落ちる造りにした。強風による破損を考慮し、窓にはシャッターを付けた。また景観配慮のため、石垣には溶岩型のブロックを使用、センター外観は茶系で統一した。事務室や救護室、仮眠室などを設け、職員ら15人が宿泊できるという。
運営には、山梨県や富士吉田市、富士吉田署、観光業者などで組織する同センター運営協議会があたる。開設期間中は協議会から委託された警備員らが24時間体制で、登山者への安全登山指導、救急対応、気象情報の提供、仮設トイレの管理、登山者(センター前通過者)数調査などの業務を行う。
2014年には、7、8合目の救護所などで救急搬送が必要な登山者が出た場合に、5合目まで下ろすための特殊な運搬車「クローラーダンプ」を配備。5合目まで医師や看護師らと一緒に運ぶ。当初は開山期間中の日の出から日の入りまでの対応だったが、2016年からは24時間出動できる態勢にした。
2015年には同センター前に掲示板を設け、登山者に火山活動に関する情報(気象庁が発表する噴火警戒レベルや火山活動の解説情報など)を提供。2017年からは突発的な噴火や落石、転倒などに備え、ヘルメットの貸し出し(デポジット制=2000円/回)を行い、登山者の安全対策・啓発を図る。2019年からは県柔道整復師会によるテーピングなどの施術(期間限定)を実施。
また、富士山警備派出所(富士吉田署管轄)も設置される。さらに山開き前の6月下旬には、吉田口登下山道の残雪量や、防護柵、案内看板、階段の状況などを調査・点検する。
2020年は、新型コロナウイルスによる登山者および関係者の安全確保が困難なことから、吉田口登山道が閉鎖されたため開設を中止。
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2023年は、7月1日~9月11日の73日間開設予定。
連絡先は、電話0555(24)6223[開設期間のみ]。