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2021.4.04 所属カテゴリ: 富士山噴火に備える / 防災キーワード /

富士山噴火におけるハザードマップ

 ハザードマップは自然災害への備えを住民に進めてもらうため、想定される被災範囲や避難場所、経路などを示した地図。ハザードは英語で「危険の原因」や「障害物」を意味する。津波や土砂崩れ、噴火など災害の種類に合わせてさまざまな地図がある。自治体などが作成、住民に配布したり、インターネットで公開したりしている。

 富士山噴火の被害を想定したハザードマップは、2000~01年に富士山で低周波地震が頻発したことをきっかけに、噴火災害に備えて2001年6月、富士山一帯の自治体と国が「富士山ハザードマップ作成協議会」を設立。同7月、同協議会の諮問を受けて学識者らによる「富士山ハザードマップ検討委員会」が発足。委員は地震、防災の専門家と山梨、静岡、神奈川3県と国の関係機関(総務省や国土交通省など)で構成。2004年に山梨県富士吉田市や静岡県御殿場市などの各地域版、観光客向け、防災業務用に「富士山火山防災マップ」を作成。火口のできる範囲や火砕流、噴石、溶岩などが達する危険のある範囲を示し、地域ごとの避難情報などが盛り込まれた。

 2012年6月には新たに、山梨、静岡、神奈川3県が国や周辺自治体など約60の関係機関からなる「富士山火山防災対策協議会」を発足。マップの作成から15年近く経過した2018年7月、その間に富士吉田市街に近い「雁ノ穴」が火口であることが分かるなど、研究が進んだことなどを踏まえ、協議会内に「富士山ハザードマップ検討委員会」を設けて改定版の作成に着手。最新の知見や詳細な溶岩の流れ方をシミュレーションしてマップに反映。2020年3月には小規模噴火時の溶岩流と火砕流のシミュレーションを中間報告として公表。2021年3月、新たに中規模と大規模噴火時の溶岩流、融雪型火山泥流などの結果を追加した改定版を公表。

 改訂版では、溶岩流のシミュレーションにおいて、最新の研究で「貞観噴火」(864~866年)の噴出量が、旧マップの最大想定量(7億立方メートル)を大幅に上回る13億立方メートルに見直されたことを反映。発生が想定される地点は旧マップの約5倍に当たる252カ所を設定し、全ての噴火パターンでの到達範囲を地図に落とした。

 結果によると、山梨県内は溶岩流の到達範囲が旧マップでは都留市までだったが、桂川を通って大月、上野原両市を通過し、神奈川県相模原市に到達する恐れがあることが判明。前回は都留市や西桂町に8日から約40日で到達するとしていたが、今回は都留市に7時間半、西桂町に5時間で達するとした。国は新たに溶岩流が到達する恐れがある3県の12市町を、活動火山対策特別措置法に基づく「火山災害警戒地域」に追加指定する。

 解けた雪が土砂を巻き込んで流れる融雪型火山泥流は危険度区分や到達時間、泥流の深さの3種類の地図で示し、富士北麓地域と東部地域の7市町村で被害の恐れがあることが示された。

 降灰範囲は旧マップのデータを再掲。富士北麓地域だけでなく、甲府市で2センチの降灰を見込んだ。

 協議会は想定の対象とする噴火年代について、改定版で従来の3200年前から5600年前まで広げた。5600年前から少なくとも富士山では175回の噴火が発生しており、小規模は86回(49%)、中規模は82回(47%)、大規模は7回(4%)とした。大規模は最後の噴火とされる「宝永噴火」(1707年)などが含まれている。

 一方、協議会はハザードマップ改定に伴い3県と関係機関による広域避難計画を2022年3月にも見直す方針を確認。

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