謎の「富士山池」正体を探る
「富士山池」があるのは、山梨県甲斐市牛句の敷島総合公園近く。正体は「後沢ため池」。干ばつなどの緊急かんがい用貯水池として1939年に造成。1999年には公募で「矢木羽湖(やぎはこ)」の愛称が付けられている。
近隣住民の憩いの場としても親しまれ、池のほとりにはあずまややトイレを設置。遊歩道も整備され、周辺の自然を楽しみながら散策もできるようになっている。西側には梅畑が広がり、梅もぎが楽しめる。周囲には地元の小学生が植えてきた桜があり、花見スポットとしても人気だという。
地上からため池を見渡せる場所があるのだろうか。展望台があると教えられ探してみる。甲斐敷島梅の里クラインガルテンへ向かう道に車を走らせると、途中の梅畑の中にそれらしきものを発見。展望台に立ってみるが、目の前にはたわわに実った柿が見えるだけ。展望台下の梅畑からも、富士山の頂上部分に当たる直線の堤防だけしか見えない。逆サイドの敷島総合公園から見えるのも一部だけだった。
やはり上空からでないと、池の全景を見ることはできないようだ。後沢ため池で山林火災時などに備えた訓練を行っているという、県消防防災航空隊のパイロットに聞いてみると、「そういわれてみると、富士山にも見える」との感想だった。
甲斐市で町史などを調べてもらったが、「富士山に似せて造ったという記述はありません」(秘書政策課)とのこと。現在、後沢ため池を管理する荒川沿岸利用組合の技術員も「そのような話は聞いたことがありません」と話す。やはり偶然だったようだ。
市によると、お正月、後沢ため池では、富士山の横から昇る初日の出が見られるという。富士山形の池越しに望む初日の出と富士なんて縁起が良さそう。新たなパワースポットになるかもしれない。
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