1つ前のページに戻る

2022.7.04 所属カテゴリ: ふじさんクエスト / 社会・歴史 /

活動広げる遺産の“番人”

 富士山と周辺地域の自然保護と、適正利用を進めることを目的に、山梨県が2005年に創設した「富士山レンジャー」制度。富士山の自然環境の解説など環境教育活動のほか、登山者への安全指導、植物の不法採取や不法投棄など不正行為の監視や是正指導など多岐にわたる活動を行っている。レンジャーは学科試験などに合格する必要があり、合格すると県の非常勤職員として採用される。

 県内の自然保護関連制度としては、自然環境保全条例における違反行為を監視する県委嘱の自然監視員制度などがある。このうち、観光客数が年間約2000万人に上る富士北麓地域は、自然を軸とした観光が定着する一方、植物の盗掘やごみの投棄など、一部に違法行為やマナーを守らないケースが依然目立つ。これを受け県は自然保護策の強化がさらに重要性を増していると判断。“県直轄”で対策に当たる専任人員として富士山レンジャーを配置した。

 初年度は26人の応募があり、筆記試験や個別面接などによる選考の結果、2人を採用した。同年6月1日に辞令交付、1カ月間の研修を受け、夏山シーズンを迎える7月1日から本格的に活動を開始した。その後、環境保全強化のため増員し、2008年度に4人、2014年度からは7人体制。

 県立富士山世界遺産センター(富士河口湖町)を拠点にしていて、普段は複数のチームに分かれ、富士北麓地域の不法投棄のパトロールなどを主に行っている。富士山の開山期は、富士山が主戦場だ。自然環境を損なわず、安全に富士登山を楽しめるよう、軽装での登山や登山道からの道外れ、悪天候にもかかわらず登山を続けようとする人たちに声をかける。

 観光客に多いのが富士山の溶岩の持ち出し。国立公園である富士山では溶岩の持ち出しは指導の対象となる。

 2010年からは、富士山レンジャーが撮影した写真による、富士山・富士北麓地域の魅力と環境問題を伝える写真展を県内各所で実施している。

広告