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ヘルメット、ゴーグル、マスク

●いざという時のため、万全の装備を

 2014年9月の御嶽山(おんたけさん=長野・岐阜県)の噴火をきっかけに富士山でも突発的噴火への対策が急務となっている。2015年3月に開かれた富士山登山者の安全確保策などを検討する「富士山における適正利用推進協議会」では、山梨・静岡両県などで定める富士登山に関するガイドラインが改定され、ヘルメットや防塵(じん)マスク、ゴーグルの持参を推奨することなどが明記された。

 登山においてヘルメットは噴石だけでなく、落石や落氷・落雪など上部からの危険や転倒に対し、頭を守るためにかぶる。高い樹木がなくなる森林限界より上を登る富士山では落石などの危険性が高いので、必ず着用しよう。登山用品店では250グラム程度の軽量タイプや折り畳み式、通気性に優れたモデルなど、色とりどりの商品が並ぶ。黄色やオレンジなど人目につきやすい色のほか、女性を意識したピンクのヘルメットなど、最近はデザインもいいと評判だ。発泡スチロールを使って軽量化したものがよく売れるといい、価格は7000~8000円が中心。衝撃をゼロにはできないが、リスクも軽減できるので、ぜひ着用してほしい。

 火山灰は主に噴火の勢いで溶岩が細かく砕けたもの。一つ一つの粒子はとても硬く角がとがっているので、目や肺を傷つけることがある。ただ火山灰の温度が低ければ、吸い込んでも重い病気になることは少ないという。火山灰が目の表面を傷つけると、目にかゆみや痛みを感じ、充血することがあるので、ゴーグルや眼鏡を装着しよう。ゴーグルは噴火時に限らず、風雨がひどいときにも対応できる。

 肺に入ると、せきが出たり、息苦しくなったりする。ぜんそくや気管支炎の人、心臓に重い病気のある人は、症状が悪化することがあるので注意が必要。防塵マスクで鼻と口を覆い、肺に火山灰が入らないようにしよう。



 なお、山梨県側の山小屋でつくる「富士山吉田口旅館組合」では2015年の夏山シーズン前に山小屋にヘルメットや防じんマスクなど登山者用の防災備品1000セットを購入、各山小屋に配備した。

 また富士吉田市が2017年から、突発的な噴火や落石などへの備えを目的に独自にヘルメットを用意。「デポジット」制を採用し、夏山シーズン中の吉田口6合目登山道・富士山安全指導センターで貸し出す。

 さらに同市は、毎年7月に行われる「富士登山競走」(同市主催)において、噴火や落石などから身を守るため、出場者にヘルメットの携行を強く呼び掛ける。
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