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装備、避難路


■ヘルメット携行7%

 突発的な噴火に備え、山梨県や富士吉田市などは2015年、5合目の観光施設や山小屋へのヘルメットと防じんマスクの配備を推進。突然の噴火に備え、登山者の装備携行も推奨されている。

 しかし、回答した200人のうち、携行したのは7.0%のみ。携行した登山者は「自分で身を守るため」(長野県の57歳男性)と理由を挙げた。「マスクは持ったが、ヘルメットは用意できなかった」(岐阜県の68歳女性)と、軽量のマスクのみを携行した人も多かった。

 携行しなかった人の多くが、推奨されているのを「知らなかった」と理由を挙げ、登山者への啓発が十分ではないことがうかがえた。装備の必要を感じながら「重装備で登山の負担になる」と回答した人も目立ち、「警戒レベル1だったため」(東京都練馬区の30歳男性)「いつ噴火するか分からない山を登山者に開放しないと思うから」(東京都杉並区の24歳女性)と回答した人もいた。

 噴火への備えとして必要だと考える対策(複数回答)は、「避難シェルターの整備」が58.5%で最も多く、「避難ルートの周知」が28.0%。さらに「ヘルメット、マスクの配備」と「山小屋の建物の強化」が、いずれも26.5%で続いた。

 避難ルートに関しては、山梨県が四つの避難パターンを設定し、避難の方向や経路を示した「避難ルートマップ」を作成。県のホームページなどで公開している。そのため山梨側独自の質問として認知度を聞いたところ、「知っていて持参した」という人はなく、「知っていたが持参しなかった」が6.0%。「知らない」が87.0%と圧倒的で、作成したのに生かされていない実情が明らかになった。



 山梨日日新聞と静岡新聞は2015年夏、富士山噴火への備えなどに関するアンケートを、登山者200人を対象に行った。アンケートは8月1、2の両日、山梨、静岡両県の5合目の登山口などで実施。各県100人ずつから回答を得た。


 【富士山噴火 登山者調査】
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