1つ前のページに戻る

富士山世界文化遺産・構成資産『山頂の信仰遺跡』

 山梨、静岡県。富士山頂には、火口壁に沿って富士山本宮浅間大社奥宮や久須志神社などの宗教関連施設が立ち並んでいる。山頂にある出水口の「金明(名、銘)水」や「銀明(名、銘)水」は、貴重なものとして信仰の対象とされた。また、火口は「内院」と呼ばれるなど宗教的な名称が付けられた場所もある。

 平安時代に富士山への信仰登山が始まると、修験者や信仰登山者が頂を目指した。江戸時代には関東を中心に富士講が広まり、多くの富士講信者が登山するようになった。

 寺院の造営や仏像などの奉納が行われ、山頂部での宗教行為が体系化された。登山者は山頂部で御来光を拝んだり、八つの頂部や宗教施設を巡る「お鉢巡り」をするなどした。この風習は現代も受け継がれ、多くの登山者も行っている。

 2016年には富士山本宮浅間大社奥宮が全面改修され、2017年には鳥居の改修が行われた。一方で、混雑緩和策として、山梨県は2019年から山頂付近の動画をホームページなどで公開。文化の継承と安全管理の両面が課題となっている。

広告