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富士山世界文化遺産・構成資産『旧外川家住宅』

 山梨県富士吉田市。1768年に建てられ、富士山に登拝する信者のため宿泊や食事の世話をする御師の住宅では最古の部類とされる。吉田口登山道の起点となる北口本宮冨士浅間神社の門前地域に位置。江戸時代に隆盛を極めた富士山信仰を伝える御師住宅の構えを残している点などが評価され、2011年には重要文化財(建造物)に指定された。

 街路から奥まった細長い特徴的な敷地に主屋、離座敷、中門の3棟が並ぶ。離座敷は富士講信者が爆発的に増えたことに対応するため、19世紀中頃に増築。中央部には神殿、奥には床を一段高くした座敷が設けられ、富士山信仰の布教と祈とうを業とした御師の日常を今に伝える。

 富士吉田市が改修をし、2008年4月からは敷地、建物内部の一般公開を始めた。御師の活動について来訪者が学べるよう、協力員が解説もしている。

 遺産登録以降、国内外からの登山者や観光客の急増を受け、2015年に休憩施設「御師町お休み処」が隣接地にオープン。観光拠点だけでなく、御師の歴史や文化の発信拠点も担う。

 最盛期と比べ地域の「御師の家」は激減。後継者が主体となり文化の継承を進める動きも出ている。

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