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富士山世界文化遺産・構成資産『忍野八海・お釜池』

 山梨県忍野村。釜の中で熱湯が沸騰するように水が湧き出ていることからこの名が付いたといわれる。面積は24平方メートルで八海の中で最も小さい池だが、底は深い。

 「ふじの根の/ふもとの原にわきいづる/水は此の世の/おかまなりけり」。池の近くにある石碑に刻まれた短歌では、こう紹介されている。深遠な「おかま」には、八大竜王のうち跋難陀竜王が祭られている。

 ほとりに年老いた父親と美しい2人の娘が住んでいたが、池で洗濯をしていた妹は大きなガマガエルによって水中に引きずり込まれたという伝説が残る。父親と姉はそれでもほとりにとどまり、妹の冥福を祈って過ごしたとされ、この伝説から「大蟇池」とも呼ばれる。

 富士山信仰における巡礼地の一つで、富士山を目指す行者が八海を巡り、身を清めてから山頂を目指したといわれる。
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