織物の街の栄華伝える
1921(大正10)年に完成。間口約14.5メートル。奥行き約11メートル。延べ床面積262.49平方メートル。土蔵造り2階建て。2棟の蔵を含むと表通り(国道139号)から裏通りまでを貫く奥行きの深い屋敷で、城下町の屋敷地割りが残っている。
大正、昭和期に絹問屋を営み、その後、都留文科大の学生らの下宿にもなった。1993年に市指定有形文化財になり、当時の帳簿や道具、日用品などを展示する「都留市商家資料館」として開館、公開されている。
建物に入ってまず目を引くのが、土間に面した16畳の玄関座敷。かつては取引客でにぎわったというその店先と、奥の座敷は千本格子で仕切られている。
玄関座敷の右奥には、和風の外観からは思いも寄らない、モダンな洋風の応接室がある。間接照明や薄紫色の窓ガラスなど、当時としては珍しい趣向が凝らされている。
このほか、それぞれの屋内は細かい装飾が随所に施されており、書院風座敷の組子の飾り窓や「塵返し」と呼ばれる斜め下向きの障子の桟など、職人の技が生きている。
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