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2018.2.03 所属カテゴリ: 山日紙面で見る富士山 / 2月 /

山中のハリモミ純林 新しく天然記念物に

規模“世界一”の折り紙

 文化財保護委員会は南都留郡中野村大字山中字沖新畑の「山中のハリモミ純林」を1月18日付けで天然記念物に指定したと2日県教委へ連絡があった。

 この純林はすでに大正年間、アメリカの植物学者でハーバード大学付属樹木園ヘンリー・ウイルソン副園長によって現地調査の結果「日本でみた同種植物中他に類がない」と世界的に紹介され、現在世界一の規模といわれているもので、本県で国の天然記念物指定はこれが35件目。

 指定地域は国有林山梨計画区甲府事業区41林班い小班、同ろ小班、42林班ろ小班、43林班ろ小班、44林班い小班のうち実測16.76ヘクタールと、45林班い小班のうち実測26.94ヘクタールの計43.7ヘクタールとなっている。ハリモミの純林は山中湖と忍野盆地との間にあり、総数は約3万本、高さ20メートルから26メートル、目通り幹まわり2メートルから3メートルの平均した発育をとげ、密度の高いみごとな林相を保っている。とくに興味のある点は富士山から噴出した鷹丸尾溶岩流の上だけに孤立して発達しており、この点他に類例がなく、学術上貴重なものとなっている。

 文化財保護委員会ではこれを保存するため(1)樹木の伐採、枝幹などに傷をつけたり、樹木の成長に影響をおよぼす行為をしない(2)指定地域内でみだりに溶岩を採取しない―を指示している。県教委から国指定の申請はさる31年に出されており、ようやく指定になったものだが、世界的に知られているものだけに、文化財保護委員会でもすでに指定ずみのものと思っていたという裏話もあるほどだという。【当時の紙面から】

(1963年2月3日付 山梨日日新聞掲載)
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