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2018.8.12 所属カテゴリ: 山日紙面で見る富士山 / 8月 /

5合目に水は出るか 山梨大学地質学教室 富士山で水脈調査

 富士山5合目からは水は出ない-という“定説”に挑戦して、山梨大学教育学部地質学教室・浜野一彦教授ら16人が11 日、標高1200メートルの南都留郡鳴沢村の鳴沢登山道(大坂道)で、 電気探査機を使った第1次富士北ろく地下水調査を始めた。

 浜野教授は昭和48年から富士山の地下水の研究を始めた。同教授の話によると、富士山の年間降雨量は約20億トンで、そのうち山梨県側の富士北ろくに8億トン。8億トンのうち7億トンが大気へ蒸発したり桂川に流れ込み、残り1億トンが地下水となっている-という。

 またこれまでの研究で、水を通しやすい新富士(現在の富士山)と旧富士の境に不透水層があり、この層の浸食されたくぼみなどに地下水がたまっているという。実際5合目(2500メートル)の小御岳神社付近には旧富士の地層が露出しており、井戸掘削の可能性がある。

 同教授らはことしから3カ年計画で地下水脈を発見することにしている。第1次調査の同日は同教室の学生やOB、それに小林道・鳴沢村長らも立ち会った。電気探査機(大地比抵抗測定機)を使い、地面に埋め込んだ鉄グイの電極に200から600ボルトの電流を流し、その抵抗値を測定した。

 13日までは富士桜高原西の鳴沢登山道周辺で調査し、今月下旬、第2次調査として、2合目(1700メートル)から5合目(2500メートル)の調査をする予定。 【当時の紙面から】

(1976年8月12日付 山梨日日新聞掲載)
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