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2018.9.12 所属カテゴリ: 山日紙面で見る富士山 / 9月 /

富士北ろくで236種を確認 〝キノコの宝庫〟証明 日本菌学会が調査

 日本菌学会(青島清雄会長)は、最新の「日本菌学会報」と、このほど開いた第3回国際菌学会の富士山現地検討会で、2年間行った富士北ろくのキノコ調査結果について「236種を確認した」と報告した。富士山5合目以下の広いすそ野は、キノコの宝庫といわれ、今年も入山者が目立ち始めた。富士山のキノコの種類を本格的に調べたのは初めて。236種のうち38種は学名も分からないもので、新種が含まれている可能性も大きい。

 日本菌学会は56、57の2年間、会員ら240人を動員して富士北ろくの大々的なキノコ分布調査を実施した。今年8月末から9月上旬にかけて東京で開いた国際菌学会に、日本のシンボル・富士山のキノコを紹介しよう、というのが目的だった。

 調査は56年(10月)に精進口登山道の2-5合目、富士林道周辺、57年(9月)に吉田口登山道の中ノ茶屋-5合目、2.5合目以下の滝沢林道などで行った。採取したキノコは、その都度、今関六也国立林業試験場顧問、本郷次雄滋賀大学教授らキノコ、菌類の権威者が分類した。

 その後、古川久彦国立林業試験場きのこ科長らが詳しい調査、分析をして、最近の学会報に「富士山菌類目録」として発表した。それによると、単子菌類(キノコ)が236種、子ノウ菌類(キクラゲのようなものなど)が28種あった。

 なじみが深いものはクリタケ、ナラタケ、キシメジ、ホテイシメジ(地元でチョコダケ)クロカワ(同クロット)コガネタケ、ウスタケなど。変わったものでキヌガサダケ、サンゴハリタケ、ヒイロチャワンタケなどがあった。

 しかしキノコの宝庫といわれるだけあって、学名の分からないキノコが続出。結局、単子菌類で38種、子ノウ菌類で6種が特定できなかった。また外国名は分かっても、日本名の分からないものが64もあった。

 県林業試験場富士分場の柴田尚技師によると、日本のキノコ研究はマツタケ、シイタケなどで世界のトップクラスを行くが、分類部門などは遅れている。「日本のキノコ(高等菌類)は2000種とも4000種ともいわれている。しかし名前がついているのは1000種あるかどうかだろう」という。

 今回の調査で、富士山ろくのキノコが、初めて本格的に分類された。学名の分からないものの中には「新種になるか、日本で初めて採取したものになるか、どちらかになる可能性がある」(柴田技師)。また、広大なすそ野では、これからも新しいキノコが見つかる可能性は十分あり、学問的にもキノコの宝庫になりそうだ。【当時の紙面から】

(1983年9月12日付 山梨日日新聞掲載)
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