1つ前のページに戻る

2018.3.14 所属カテゴリ: 山日紙面で見る富士山 / 3月 /

大滝の青写真が完成 河口湖大橋に設置計画

 通過観光客の足止め策として、河口湖の河口湖大橋に大滝を取りつけよう-というビッグな計画を進めている河口湖町は、昨年から業者に調査を委託、検討を進めてきたが、このほど青写真が出来上がった。プランによると、毎分2百トンの水を720本のノズルから一斉に落差13~15メートルで放水するもので、建設費はざっと4億円。完成すれば全国一の人工滝になることは間違いないが、建設費のねん出、環境庁との景観上の問題等々、まだ難問は山積している。

 実はこの大滝構想、6年ほど前にも一度検討されたが、具体化する前に机上の空論として消えている。今回の発端は昨年、町と観光業者の話し合いの席上「年間500万人もの観光客が訪れながら宿泊する人はわずか7~80万人。大半は湖をながめるだけの通過観光客では、地元は潤わない。なんとか足止めする方法はないか」と再び滝建設が話題に上った。この話を知事を囲んでの懇話会で相談したところ、知事から「話だけではなく、具体的な計画を提出すれば検討してみる」との回答を得たことから、本格的に検討することになったもの。町では53年度予算に調査費10万円を計上、神奈川県の噴水業者にプラン作りを委託した。業者は地形、地質、湖などを調査したうえでこのほど完成青写真を作成した。計画によると滝の全長は350メートルで、高さは高い場所で15メートル、低い場所で13メートルの落差を持ち、水量は毎分200トンの水を水中モーターポンプ20台で揚水、電気量900キロワットで720本のノズルから、一斉に水をはじき出すことになっている。総工費は装置のほか制御板などを含めて約4億円。これに夜間照明装置を加えるとざっと5億円近くになる。

 町では“予定通り”県の観光課、県企業局に資料を持ち込み県当局に検討を依頼した。この大滝が実現するまでには、まず環境庁の設置許可が必要。同湖が国立公園に含まれていることから、環境庁の意向が問題になるが、同庁では大橋建設にも難色を示した経過から、人工滝を認めるかどうか未定。次に建設費をどこが出すかも難題で、町や地元観光協会の全面出費は到底不可能。町では県が頼み、と県工事に期待を寄せているが、公営企業が建前の企業局が実収のない工事を引き受けるか、また県も河口湖の一地域にこれだけの資本投下をするかは難しそう。これにもまして心配なのが、毎秒200トンの水が揚水された場合、技術的に橋脚が持ちこたえるかどうかの難題もある。企業局では「今後じっくり検討する」と約束したものの、結論が出るのはかなり先になりそうだ。

 ともあれ、全国に例のないビッグな大人工滝の行方は今後、各方面で論議を呼びそうだ。 【当時の紙面から】

(1979年3月14日付 山梨日日新聞掲載)
広告