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2018.5.03 所属カテゴリ: 山日紙面で見る富士山 / 5月 /

下界よそに富士は厳冬、銀世界

 富士山の山頂は、今年は記録的な積雪に見舞われ、ゴールデンウイークの観光客でにぎわう五合目とは対照的に、まだ厳冬の銀世界である。4月27日には3.8メートルと、昭和26年からの富士山測候所観測史上、最高の積雪を記録した。

 富士山測候所御殿場基地事務所によると、これまでの最高は昭和51年4月4日の3メートル。2日午前9時の積雪は3.3メートルで、過去14年間の4月下旬から5月下旬の平均積雪は約1.85メートルとあって、依然高い数字となっている。

 甲府地方気象台は「今年は春先に日本南岸を通過する低気圧が多く、高所では雪となった」と話している。

 山岳写真家の上野巌さん(55)は4月30日、山頂に登った。「山頂直下の鳥居は雪に埋まり、頭をちょっと出しているだけ。すべての物に氷が「張り付き、山頂測候所も窓が少し見えるだけだった。6合目から上の夏道はどこが道かわからない」と語る。30日正午の気温は氷点下11.8度、風速8.5メートルだった。

 雪の質についても「6合目から上は一面、風で表面がガチガチに凍り、ピッケルでカッティングできないほど硬い。滑落したら止められないので注意が必要」という。

 一方、富士山でスキー滑落事故が相次いでいるため県、富士吉田署、富士吉田市は2日、スキー自粛を呼びかける看板を5合目お中道と富士山有料道路の入り口に設置した。3~7日は5合目でパトロールする。 【当時の紙面から】

(1989年5月3日付 山梨日日新聞掲載)
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