2021.4.30

富士山登頂の元五輪王者しのぶ

ドイツの墓に霊峰石碑 日本人有志が募金、設置

 モスクワ五輪競歩の金メダリストで、心臓移植手術を受けた後に富士山への登頂に成功したドイツ人、ハートヴィッヒ・ガウダーさん(享年65歳)の墓に、富士山をかたどった石碑が建立された。

 ガウダーさんは1993年の引退後に心臓疾患を患い、4年後に移植手術を受けた。競技経験を生かし心肺機能を高めるウオーキング法の普及に取り組み、日本でも2002年、「パワーウオーキングクラブ日本支部」(東京都)を創立した。03年7月に富士登山に成功。昨年4月に亡くなった。

 石碑はガウダーさんが住んでいたドイツ・チューリンゲン州の墓地に建立。同支部によると、富士山が好きだったガウダーさんを思った家族が、富士山をかたどった形にしたという。山頂部分に雪が積もる様子を表現していて、高さは約50センチ。ガウダーさんの出生と没年月日の数字も刻まれている。

 同支部は毎年、ガウダーさんを招いて全国各地で講習会を開催、延べ約1万人が参加したという。石碑は同支部会員らが昨年7月ごろから寄付金を募り、設置した。

 同支部によると、ガウダーさんは富士山頂で御来光を見て以来、「日本人の富士山に対する信仰が分かった」と話していたといい、古賀和仁理事長は「ガウダーさんにとって富士山登頂は心臓移植後の目標で、富士山は特別な存在になった。石碑の設置を喜んでいると思う」と話している。

(2021年4月28日付 山梨日日新聞掲載)

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