2022.3.13

富士山税 結論見送り

徴収態勢、システム課題

 山梨、静岡両県や地元関係者らでつくる富士山世界文化遺産協議会作業部会は、富士山保全協力金を、自治体が使途を定めて独自に課税する法定外目的税として徴収することについて、本年度は結論を見送った。徴収のための経費やシステム構築に課題が残るためで、新年度も継続して検討する。

 10日に富士吉田市内で作業部会を開催。事務局の両県の担当者らが、法定外目的税として登山者全員から徴収するには多数の人員配置が必要で、経費が高額になると説明した。多人数の徴収を処理するシステムを稼働させるための電源確保が難しく、過酷な気象条件下では徴収のための施設が必要になるとも指摘した。

 出席者からは「5合目以下での導入も検討した方がいい」「開山期間外の利用者負担はどうするのか」という意見や質問が出た。県担当者はいずれも「今後検討していく」と回答した。

 作業部会は今後、経費の削減策や運用の簡素化など、課題解決に向けた方策を引き続き検討する。導入時期については示していない。山梨県世界遺産富士山課の担当者は取材に対し、「今夏の入山は引き続き保全協力金での協力を登山者にお願いしたい」と話した。

 作業部会は昨年度から、富士山保全協力金を法定外目的税として徴収する方向で検討を進めてきた。この日はウェブも含め、国や両県の富士山周辺の自治体担当者、住民代表ら約70人が出席した。

(2022年3月11日付 山梨日日新聞掲載)

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