2022.6.04

印刷工房 富士の麓で

都内から移転・原さん 地域の魅力多彩な作品に

 東京都内で印刷業を営んでいた原俊彦さん(78)が今春、富士吉田市に工房「D-Print開発室」を開き、活動を始めた。東京では企業の大型看板などを手掛け、年齢を踏まえて引退を考えたが、知人の誘いを受けて富士吉田で再スタートを切り、写真や絵の印刷を施したグラスや皿などを制作。「富士山など地域ならではの魅力がここにはある」と話し、一点ものの作品制作に精を出す。

 原さんは東京都出身で、都内で印刷会社「光伸プランニング」を立ち上げ、30年以上、都内の駅や施設で用いる大型広告やラッピング広告の印刷やミュージアムグッズの商品の印刷などを手掛けた。2012年に会社を息子に譲り、自身は新たに都内に工房を設け、「どんな素材、曲面、凹凸にも印刷できる製品づくり」(原さん)を始めた。

 今年3月で引退を考えていたが、富士吉田市内の知人から「まだまだもったいない」と市内への移転を提案された。鳴沢村に別荘を構えていて、ワイズメンズクラブの活動でも訪れていたため、富士北麓地域との関わりは深く、移転を決めた。

 4月中旬から新天地の工房「D-Print開発室」での活動を開始。工房には、写真や絵をスキャンし、印刷を施したマグカップやグラス、皿、バッジがずらりと並ぶ。御師の家から依頼を受け、富士山信仰にまつわるキーホルダーなどの制作も始めた。「グラスには、裏面に印刷して、表に印刷したように見えるよう工夫し、長年培った経験を注いでいる」と製品の質に自信をのぞかせる。

 「記念品やプレゼントにも対応したい」と1点から制作を可能にしたのもこだわりの一つ。「富士吉田には富士山やそれにまつわる歴史など魅力がたくさんある。印刷を通して役に立ちたい。今はそれが生きがいになりつつある」と語った。

(2022年6月2日付 山梨日日新聞掲載)

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