2023.6.20

桜桃忌 太宰しのぶ

4年ぶり一般公開

文学碑に花を手向けて太宰治をしのぶ参加者=富士河口湖町の御坂峠

文学碑に花を手向けて太宰治をしのぶ参加者=富士河口湖町の御坂峠

 作家太宰治(1909~48年)の命日(19日)を前に、太宰が一時滞在した御坂峠の天下茶屋(富士河口湖町)で17日、山梨桜桃忌が開かれた。

 新型コロナウイルス禍の影響で参加者を制限した開催が続いていたが、4年ぶりに一般公開された。県内外から約30人が参加し、「富嶽百景」の一節が刻まれた文学碑に献花し、太宰をしのんだ。

 天下茶屋では、太宰が同茶屋に滞在して執筆した未完の長編「火の鳥」の一部を、大正大表現学部の学生ら4人が朗読。参加者と作品や太宰について語り合った。

 学生らは約2年前から太宰作品の朗読データのアーカイブ化に取り組んでいる。指導に当たり、天下茶屋が実家でもある大正大の外川智恵教授(元山梨放送アナウンサー)は「アーカイブ化を通し、多様な人が太宰に触れる機会を増やしていきたい」と話す。山梨桜桃忌の運営を担当する望月純吉さんは「天下茶屋といえば『富嶽百景』が有名だが、『火の鳥』についても理解が広がってほしい」と話した。

(2023年6月18日付 山梨日日新聞掲載)

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