先達 故斉藤さんの功績紹介 富士吉田で企画展 富士講の文化継承に尽力

斉藤義次さんが富士登山の時に着ていた行衣=富士吉田・ふじさんミュージアム

斉藤さんが使っていたシャクナゲの金剛杖や頭に巻く宝冠
富士吉田市のふじさんミュージアムは、神奈川県横須賀市を拠点とする富士講「丸伊講」の指導者「先達」として信仰文化の継承に尽力し、昨年3月に94歳で亡くなった斉藤義次さんの功績を紹介する企画展を開いている。ミュージアムによると、斉藤さんは富士山の世界文化遺産登録にも大きく貢献。担当者は「富士講を代表する先達だった。生涯を振り返りながら、富士講の伝統文化を知ってほしい」と話している。
斉藤さんが富士講に関わるようになったのは1950年、20歳の時に左足を複雑骨折するなど全治10カ月の大けがを負ったことがきっかけ。3年の修行の後、23歳で先達となり、以降70年にわたり富士講文化の継承に尽力した。
斉藤さんは、生涯で45回の富士登拝や3度の御中道巡りを達成したほか、富士講の修行の一環である内外八海巡りも行った。展示している斉藤さんの行衣には、神道扶桑教や御師が修行達成の証しとして渡す「オユルシ」が少なくとも20枚以上貼られている。
富士講の代表的な祈祷の儀式「お焚き上げ」の担い手として地元だけでなく、儀式が途絶えていた富士吉田市でも吉田胎内祭や火祭りで執り行い、一般の人に知ってもらう機会もつくってきた。世界文化遺産登録の際には、調査に協力しながら、国際会議の場で儀式を行うなど富士山信仰を国外に伝える役目も果たした。
企画展は9月22日までで、午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)。火曜休館(8月は無休)。一般400円、小中高生200円。問い合わせはミュージアム、電話0555(24)2411。
(2025年8月9日付 山梨日日新聞掲載)